神田國一『主任設計者が明かすF-2戦闘機開発』読了。

本来は国内開発すべきだったFS-X(F-2)。そこに、アメリカが共同開発を強引に持ち掛けてきて、F-16ベースの日米共同開発で押し切る形となった。日本の航空機製造能力向上を許さないということと、米国製軍用機のシェア確保という問題意識があったのだろう。

そして、共同開発を押し付けた後には、一転して、軍事情報の出し惜しみが始まる。共同開発とはいえ、日本の優れた複合材技術などを吸収する一方で、米国側の情報は開示しないという非対称なやり方。

しかし、技術供与がないことにより、日本側の独自開発領域が広がり、結果的に日本の軍事技術向上につながった。重要なアビオニクスシステム(火器管制レーダー、慣性基準装置、ミッションコンピュータ、電子戦システム)を独自開発しただけでなく、飛行制御コンピュータ、飛行制御測、関連ソフトウェアをも日本側が開発し、インテグレートする結果となった。

F-22やグリペンなどにも、飛行制御システムの不具合による事故は少なくなかったが、F-2では、初飛行から継続して、これによる事故は発生していない。

F-16に比べて、主翼の後退角をやや抑えて、敏捷性を強調するかのようなデザイン。ロールアウト時に来日したロッキード会長兼CEO・テレップ氏は、初号機を見て"Good looking, good flight."との言葉を残した。美しいと、よく飛ぶ。見た目の美しさは、飛行性能の高さを示すということか。

F-2は、海洋からの侵攻を阻止しようとする海自、陸自に対する航空支援、その目的に絞られているため、実戦配備された機体は、潔いほどに鮮やかな洋上迷彩。白の縁取りの日輪が映える。その美しさが示すように、高い飛行性能を誇り、横風の強い松島基地においても、横風用滑走路を使わずに、主滑走路のみで運用されているとのこと。

F-16に似てはいるものの、図面の95パーセントは変更され、主翼もジュラルミンではなく複合材一体成型という野心的なもの。日本側で開発した飛行制御系も信頼性が高く、全く別の戦闘機に仕上がっていた。ちなみに、主翼担当の三菱重工の技術者は、後に、ボーイング787の主翼開発にも、当初から参加することとなった。

FS-Xを巡る報道は、日本の独自開発の芽をアメリカに潰されたという印象でフェードアウトしてしまい、その後のフォローアップが充分でない印象だった。それが実際には、様々な障害に立ち向かった技術者の奮闘により、平成のゼロ戦とも称される傑作機F2が誕生していたのだった。

F-35は完成機の輸入になるようだけれど、ドローンの時代を迎えて、おそらく最終世代の戦闘機になるであろうF-3は、エンジンも含めて国内開発として、F-2の技術を継承してもらいたい。