田中英道『日本が世界で輝く時代』読了。

日本においては、国家も宗教も作られたものではなく、自然に成ったものという田中先生の視点は重要。想像の共同体として民族や国家を作られたものと捉える立場が一般化しており、日本にもそういう側面がないわけではないけれど、やはり作られた国家とは違う自生的な側面を無視したのでは、日本の成り立ちはわからない。

その他、本書の内容は多岐にわたるけれど、特に重要と思ったのは、フランクフルト学派のこと。マルクス主義の有効性が疑われるようになってから、暴力革命によらない体制転換を目指すフランクフルト学派が台頭してきた。労働者階級ではなく、学生や知識人をターゲットにして、学界やメディアを通し、あらゆることに対して、対案もないままに批判を継続してゆくというもの。「常に批判することで社会がいつの間にか変わる」という「永久批判」なる方法論は、日本の野党にも、自覚的にか無自覚的にか踏襲されているようだ。

自然に成ったといってもよいほどに、安定して継続してきた文化文明を、リベラリズムや批判理論からどのように守ることができるのか、歴史認識を含めて、様々な場面において対策が必要だと思う。